救命胴衣(ライフジャケット)の着用義務化

溺れている人に浮き輪を投げる救助員

救命胴衣の着用義務化とは?

小型船舶操縦者の遵守事項の一つとして、救命胴衣の着用義務があります。

平成30年2月より、すべての小型船舶の乗船者に救命胴衣(ライフジャケット)の着用が義務化されました。
ライフジャケット着用者の海中転落時の生存率は、非着用者と比較して2倍以上になるという海上保安庁の統計もあります。

船舶からの海中転落時の生存率(令和2年)
小型船舶操縦者の遵守事項

小型船舶操縦者の遵守事項 航行の安全のため、小型船舶操縦者が遵守しなければならない事項が次のとおり規定されています。 ■酒酔い等操縦の禁止 飲酒、薬物の影響等によ…

どんなライフジャケットでもいいの?

ライフジャケットはどのようなものでもいい訳ではなく、国の安全基準に適合したライフジャケットでなければなりません。
国の安全基準に適合したライフジャケットには、 桜マーク(型式承認試験及び検定への合格の印)がついていますので、桜マークの有無で判別することができます。

桜マーク
出典:国土交通省より

桜マークがあるライフジャケットには、すべての小型船舶で使用可能なものや水上バイク用など様々なタイプがあるので、乗船する船舶で使用可能なタイプについて確認が必要です。

タイプ使用可能な船舶
 Aすべての小型船舶
 D陸岸から近い水域のみを航行する旅客船・漁船以外の小型船舶
 F陸岸から近い水域のみを航行する不沈性能、緊急エンジン停止スイッチ、ホーンを有した小型船舶(水上バイク等)でかつ旅客船・漁船以外のもの
 G湾内や湖川のみを航行する不沈性能、緊急エンジン停止スイッチ、ホーンを有した小型船舶(水上バイク等)でかつ旅客船・漁船以外のもの

救命胴衣の着用義務が適用除外になる場合

原則として、小型船舶操縦士免許が必要なすべての小型船舶の乗船者がライフジャケットの着用義務の対象となりますが、下記の場合に着用義務が適用除外となります。

  • 船室内にいる方
  • 命綱・安全ベルトを着用している方
  • 船外で泳ごうとする直前の方
  • 船外で専用の装備を用いたスポーツ・レクリエーションをする方
    ダイビングや水上スキーなどを行うために、船上で専用の装備を着ている間は、その上からさらに重ねてライフジャケットを着ることが専用の装備の機能を阻害する場合に限り、適用除外になります。
  • 船外において、専用の装備を用いた作業をする方
    工事など船外において作業を行うために、船上で専用の装備を着ている間は、その上からさらに重ねてライフジャケットを着ることが専用の装備の機能を阻害する場合に限り、適用除外になります。
  • 安全措置が講じられたヨットレース等の競技を行っている方
  • 安全措置が講じられた船上における神事等
    船上において、神事などを行うために必要な服飾を着用することにより、ライフジャケットを着用することが適当でない方は、別の船舶からの監視・救助体制が整っている場合に限り、適用除外になります。
  • 防波堤内に係留された船にいる方
    防波堤の内側にある岸壁、桟橋、係船くいなどに係留中の船の上は、着用に努める義務になります。
  • 船長が定めた安全場所の範囲内にいる方
    船長が責任をもって指定した「船外への転落のおそれが少ない場所」の範囲内にいる方は、船長の了解を得て着用に努める義務とすることができます。「船外への転落のおそれが少ない場所」を指定する場合には、要件を満たす必要があります。
  • 負傷、障害、妊娠中であることによりライフジャケットを着ることが療養上又は健康保持上適当でない方
  • 著しく体型が大きいことなどの身体の状態により適切にライフジャケットを着ることができない方
  • 大人が保護及び監督をしている1歳未満の小児

違反するとどうなる?

乗船者にライフジャケットを着用させなかった船長は、違反点数2点が付され、再教育講習を受講しなければなりません。再教育講習を受講した場合は2点の減点となります。違反点数が累積して行政処分基準に達した場合には、最大で6か月の免許停止になりますので注意が必要です。

行政処分基準
出典:国土交通省より

救命ボート