特定操縦免許制度の改正【令和6年4月1日~】

屋形船

特定操縦免許制度の改正について

改正の背景・目的

令和4年に発生した知床遊覧船事故の影響を受けて、旅客船の総合的な安全・安心対策のために、小型旅客船・遊漁船の船長において必要な「特定操縦免許」の制度が令和6年4月1日より改正されます。

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【参照】改正前の特定操縦免許について

新制度について

1.講習について

これまで特定操縦免許の取得に必要であった「小型旅客安全講習」は「特定操縦免許講習」に変わります。

現行の小型旅客安全講習は、救命に関する科目(7時間以上)でしたが、新制度の特定操縦免許講習はそれに加えて、さらに小型旅客船の船長の心得に関する科目(学科4時間以上)及び小型船舶の取扱い、基本操縦及び応用操縦に関する科目(実技4時間以上)を加えた合計15時間以上の講習となります。

そして、新たに修了試験が導入され、科目ごとに修了試験を行い、不合格である場合には合格基準に達するまで補講・再試験が行われます。

講習課程の拡充
出典:国土交通省より

2.履歴限定制度について

新たな特定操縦免許においては、一定の乗船履歴がない場合、小型旅客船・遊漁船の船長として乗船できる航行区域が平水区域に限定されます。
そのため、沿海区域以遠を航行するには、一定の乗船履歴を積むことにより限定解除を行うことが必要です。

乗船履歴の計算方法や証明方法については、新制度施行までに変更の可能性があるため、改めて確認をする必要があります。

出典:国土交通省より

すでに特定操縦免許を受有している場合の取扱いについて

1.すでに特定操縦免許を取得している場合

令和6年3月31日までに特定操縦免許を取得した方は、経過措置として令和8年3月31日までは、引き続き小型旅客船・遊漁船の船長として乗船可能となっています。

移行講習(特定操縦免許講習の課程のうち、今回拡充される内容に相当する部分)を修了して、新しい特定操縦免許を受けることができます。ただし、新しい特定操縦免許に切り替えた場合は、経過措置期間中でも履歴限定制度の対象となることに注意が必要です。

小型旅客船・遊漁船の船長として3ヶ月以上の乗船履歴がある方は、移行講習のうち実技講習を免除することが可能です。

出典:国土交通省より

2.経過措置期間中に切り替えず、更新のみを行った場合

令和6年3月31日以前に特定操縦免許を取得した方の免許証の資格欄は、背景灰色で「特定」と記載されています。

移行講習を受講せずに経過措置期間中に免許の更新を行った場合には、免許証の資格欄は背景赤色の「特定」に変わりますが、経過措置として令和8年3月31日までは、引き続き小型旅客船・遊漁船に船長として乗船が可能となっています。

出典:国土交通省より

3.経過措置期間内に切り替えを行わなかった場合

経過措置期間内(令和8年3月31日まで)に新しい特定操縦免許に切り替えを行わなかった場合、特定操縦免許は無効なものとなり、令和8年4月1日以降は小型旅客船・遊漁船の船長として乗船することはできなくなります。

その場合に、改めて特定操縦免許を取得する場合は、特定操縦免許講習のうち、現行の小型旅客安全講習の内容である救命に関する科目(7時間以上)が免除されます。

講習の実施機関について

特定操縦免許講習は、地方運輸局長等により登録を受けた登録特定操縦免許講習機関により実施されます。

実施機関については、現時点においてはまだ掲載されておりませんが、3月下旬を予定しているようなのでまもなく掲載されるのではないかと思います。

漁師