小型船舶操縦士試験 ~実技試験編②~
実技試験の概要
実技試験は大きく分けると、小型船舶の取扱いと操縦の二つになります。
今回は操縦についてご説明します。
操縦について
どの操縦においても大切なことは安全確認です。
航行中は、常に適切な見張りを行い、周囲の状況や自船の状態の把握に努め、
発進や停止、増減速、変針など、今までの状態と異なる動作をとる前には、あらためて十分な安全確認を行う必要があります。
最初の発進、後進及び離岸をする前には、船尾付近に障害物がないか、移動して安全確認を行います。
そして、安全確認をきちんと行っていることが試験官に分かるように、体を動かして声に出して安全確認をするようにしましょう。
基本操縦
・発進・直進・停止
指示された目標に向かって指定された速力で直進します。
実技講習でしか操縦をしたことがなく、まだ操縦に慣れていない方が多いと思います。
ハンドルを切りすぎずに、早めに戻すことがポイントです。
・後進
指示された目標に向かって微速で後進します。次の指示があるまで、後進を続けます。
・変針(旋回)
滑走状態で直進中に、指示された変針目標に向かって、滑走状態を保ったままの速力で変針します。
変針終了後は、次の指示があるまで目標に向かって直進を続けます。
・蛇行(連続旋回)
概ね50メートル間隔で設置した3個のブイを使用して、滑走状態で蛇行を行います。
蛇行が終わった後は、次の指示があるまで直進を続けます。特に指示がなければ、左右どちらの方向から蛇行に入っても構わないことになっています。
応用操縦
・人命救助
航行中に要救助者を発見したという想定で、要救助者に見立てたブイを使用して人命救助を行います。
試験員がブイの位置を知らせるので、ボートフックなどの救助準備をしてから救助に向かいます。
その際、どちら側の舷から救助するかを試験員に伝えます。ブイの船内への収容は、操縦者自身で行います。
必要に応じて後進しても構わないことになっています。もし、試験員に伝えた舷の反対側にブイが来てしまっても収容します。
救助に失敗した場合は、直ちに再救助に向かいます。
失敗とみなされる場合は、ブイを見失った場合、プロペラが回転している状態で収容した場合、ブイを行き過ぎて後進で戻って収容した場合、ブイに激しく接触した場合です。
救助に向かう前に、風向きを確認して自船が風に流されることを計算して操縦すると成功しやすくなると思います。
・避航操船
航行中、十分に余裕のある時期に他船との見合い関係(行き会い、横切り等)が生じたという想定で、避航操船を行います。
図や写真で接近する船が提示されて、実際にその見合い関係にあるものとして、他の周囲の状況等も考慮したうえで、適切な避航動作をとります。
避航後は、他船が十分に遠ざかるまで避航動作の効果を確認したものとして、試験員が新たな指示を出します。
一般科目の交通の方法で学んだ各種船舶間の航法(一般の動力船より帆船が優先するなど)の知識が問われますので、しっかりと覚えておく必要があります。
また、避航動作のために停止する場合には、忘れずに後方の安全を確認するようにしましょう。
・離岸
桟橋等において、解らん直後の状態にある船舶を、出航する態勢をことができる安全な水域まで離岸させます。桟橋を押すなどの作業は、操縦者が行います。必要に応じてボートフックを使用しても構いません。特に指示がなければ、後進離岸または前進離岸のどちらを選択しても構いません。
ボートフックを使用する際は、離岸の際には持ち手の方を桟橋等に押して離岸します。
持ち手でない方で押すと折れやすいので、必ず持ち手の方で押すようにしましょう。
・着岸
桟橋等の指定された位置に着岸します。着眼点または係留設が指示されますので、着岸点なら操縦席のほぼ真横になるように、係留設備ならその設備に係留できるように着岸します。必要に応じて後進を使用しても構いません。
船と桟橋の間隔は、ボートフックが届く範囲内とされています。また、着岸終了後に速やかに係留できるように、あらかじめ係留ロープやボートフックを準備します。特に指示がなければ、右舷着岸または左舷着岸のどちらを選択しても構いません。
着岸を苦手とする方は多いと思います。船と桟橋の間隔はボートフックが届く範囲内でよいとされていますので、落ち着いて臨むようにするといいと思います。
あらかじめYouTubeなどの動画を見ながらイメージトレーニングしておくのもいいかもしれません。
まとめ
実技試験は実技講習から間もないことも多く、操縦技術に不安が多いと思います。
なるべく小型船舶の取扱いで点数を稼いで、操縦の際は安全確認を怠らずに、落ち着いて臨むようにしましょう。